家が近いからという理由で、酒を飲んで、やることをやった。
まったくもって、なに一つ、気になることのない子だった。
「マッチングアプリなら、あなたとマッチしていないわ」
むっとして、俺は君のことを何一つ… なんてことはしずかに胸に閉まい、缶ビールを飲んだ。
マッチングアプリでイケメンと会って、やることをやるのが、その子の今の生き甲斐だという。
まともな恋愛はしたことがないし、彼氏もいたことがないという。
僕はなにも言わなかったし、なにも聞かなかった。
飲み会の帰り道、1度だけ酔っ払ってあの子の家に転がり込んだことがあった。
なぜか僕は、その子とGOという映画を一緒に観た。
GOは僕が1番好きな映画だ。今まで何度も観てきた。
アマプラで観ようとしたが、課金しないと観れなかったので、その子に500円をやって、課金して観た。
すべて観終えて、やることやって、泊まらずに帰った。
僕は最後まで、あの子になにも言わなかったし、そもそも、なにも気になっていない子だ。
たぶん、向こうもそれを分かっていたし、そしてあの子はそれを指摘する自信もなかったように思う。
なのに、僕は1番好きな映画を、その子の部屋で一緒に観た。
自分の傲慢さを酒で濁らせ、同情を「映画を観る」という行為で形にした。
あの子がそれを分かっていたかどうか、確かめるすべはもうない。
誰も傷つけたくないという悪い癖。
洗濯物で散らかったあの子の部屋。
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okutaniのTwitter以上, ブログ未満な文章
気にならないあの子
2023.05.27