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センチメンタルとフジファブリック

2020.08.04

最近の僕は音楽にすがっている。

フジファブリックの初期のアルバム「アラモルト」を聴いていた。ずっとずっと、繰り返し聴いていた。

下北沢のコワーキングスペースに向かう途中。電車の中で聴いた。

深夜、近所を散歩しながら。すこし音を大きくして聴いた。

ときには、別れたあの子のことを思ったりしてさ。すこし情けなくて、噛み締めて、聴いた。

ときには、センチメンタルになり。ときには、気分が高揚したり。ギターを弾いたり。歌ってみたり。

気分を変えて毛皮のマリーズなんかも聴いたりしたんだけど、でも、やっぱり、今の気分はフジファブリックだった。

今、曲を作っている。

空っぽの夜。

僕はとある街を散歩中だった。

アイデンティティだとか、自分の向かうべきところについて、アホなりにバカなりに頭をひねって、ぼんやりと夜風に当たりながら、考えていた。

銭湯帰りの僕はぼうっとした頭で、ポスカで塗りたくったようなガラクタな夜空を眺めて、小さくひかる星の数を数えていた。

ビルに見え隠れする、低い月。

まん丸のはずなのに笑ってみえた。

電車の音。

遠くでがたんごとん反響していた。

僕は気分を変えて、夜空を飛んでみたりして。眼下に広がる街並み。さっきまで、頭をやわいでいた銭湯や、赤提灯、道ゆく人。

ふわふわと僕の体は少しずつかるくなって、ゆっくりと夜空に浮かぶ。

この街で僕だけが、夜空に浮かんでいた。

楽しかった。ただただ眺めているのが楽しくて、それに夢中だった。

だけど、どこを探しても、キラキラした街並みの中に、僕はいない。

僕だけを置いて、夜は更けていくのだった。

その事実に気がついて、また、我にかえり、急いで自分のことを考える。

センチメンタルなんだけど、不思議とそこまで寂しくはないんだ。そんなことを言い聞かせながら。

今の自分。これからの自分。

楽しいはずなのに。

僕はイヤホンを耳に当てる。フジファブリックを聴く。

ゆっくりと地面に足を下ろし、何もなかったようにすたすた歩く。

最後の曲を聴き終わった。すこしだけ心が満たされた気がした。

あの日の夜は、今日も更けている。

やはり、僕だけを置いて。