酒を飲む日と、飲まない日がある。
最近は、とくに飲む日が多い。
「何気ない日常の中にある”ちいさな幸せ”を探すといいよ」
いつだったろう、誰かにそんなことを言われた。
そんなことはもうとっくにやっていた。
旅行の計画を立て、ちいさな幸せ。
仲間と楽しく飲み、ちいさな幸せ。
あの子と手を繋いで街をゆく、ちいさな幸せ。
そんなものははるか昔から探してきたし、そして、ずっと積み重ねてきた。30年も生きていれば、そんなことがなけりゃ、まともに生きていけない。
だけども、どんなにどんなにちいさな幸せを積み重ねても、体はソファに沈むし、夕暮れにセンチメンタルの影を見てしまう。
他人のことが気になって、やらなくていいことを一生懸命してしまう。
いやしい嫉妬に嫌気がさして、心を閉ざしたくなる。
心はあなたのものだなんて、そんな言葉で無理やり、取り繕った日のこと。
あの日の嘘の意味を考えて、勝手に塞ぎ込んで落ち込んで。
いっときの感情で壊してしまったものを、「仕方がなかった」なんて呟いて、酒でなかったことにして。
日常の中にある感情が、ときにはジェットコースターのように。ときには夜風のように。僕の心をくすぐる。
そんなときは髪を切る。髭を剃ったり。服装を変えてみたり。
誤魔化しながら生きている。
言い訳の中にある言い訳をさらに探して、ちいさな幸せを無理やり肯定していた。
読みたい本は机に積まれていて、ほこりを被りはじめている。
ベッドのシーツを洗うタイミングを考えている。
汚れた靴はいつ磨こうか。
あの人にはいつ会おうか。
ごめん、今日はギターを弾く気分じゃないんだ。
明日の予定はない。
ちいさな幸せを探す旅に出たいんだとか。
そんな日常にすこし疲れてしまった。
無理して背伸びしてみても、自分の身長は今より伸びないし、そんな姿が周りからは滑稽に見えてしまう。そんなもんらしい。
今日は夏の中。
日常。
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okutaniのTwitter以上, ブログ未満な文章
日常
2020.08.09