井の頭公園の人だかりが、いつしかイグアナになっていた。
以前は、北斗の拳などの漫画を、熱く読み聞かせるイカしたおっさんだった。
そのおっさんはTwitter上で、どなたかに迷惑をかけたとかで、それ以降井の頭公園にぱったり姿を見せなくなった。
そのおっさんの漫画読み聞かせを、前に付き合ってた子と一緒に座って聞いた。そのとき、平和そのものだった。
ただ、その子が、いつ付き合っていて、いったいどの子だったか、思い出せない。それぐらい、月日は経っていた。
イグアナはお利口に、くいの上にどっしり構え、人だかりなんか気にせずのんびりしていた。老若男女が「なんだなんだ」とイグアナにわらわらと集まる。
僕はなぜか、そのイグアナを見るたびに、熱かったあのおっさんを思い出す。もう一度見たい。
吉祥寺はしょっちゅうお店が潰れ、新しいお店が入る。
大学のとき、バーテンダーになりたくて、アルバイト募集で電話したバー。ちょっと前に潰れた。
お酒が飲めるようになって何度か利用したが、お洒落でピザが美味しいお店だった。
友達とも行ったし、マッチングアプリの子とも行った。みんなお洒落だと、喜んでいたんだ。
そう、もう令和は5年、らしい。ついこないだ令和になったばかりのようなのに。もう5年目に突入している。
そういえば今日、公園口から北口へ抜ける半駅中みたいな道に、猿がいた。猿回しの猿らしく、あたまにウサギの耳がついていた。
うさぎ年に猿。
これまた人だかりができて、それを横目に、僕は俯いてスタスタ歩いた。
イグアナやら猿やら。吉祥寺は動物園になってしまったらしい。
でもそれより、やっぱり人がいなくなってしまう方が、よっぽど寂しいな。
あのおっさん、元気かな。
TrashlogTrashlog
okutaniのTwitter以上, ブログ未満な文章
ぼくの吉祥寺
2023.01.04