クリープハイプの「二十九、三十」を二十代に聴いていた。冒頭のメロディを頭で思い出しながら、最近、34歳になった。
毛皮のマリーズが大好きだったのに、今ではドレスコーズばかり聴いている。
いつの間にか、andymoriはTikTokで懐メロのように扱われていて、なんだか不思議な気持ちになる。
最近、20万円のベースを買った。ベースなんて、今までほとんど触ったこともなかったのに。
自分自身への誕生日プレゼント(笑)のつもりと、自分自身への「スイッチを入れろ」というメッセージも含めて。
スイッチを入れろ。
空は、あいもかわらず、ひろくて、たかい。
吉祥寺の丸井は、夕日を浴び、オレンジ色に輝いていて、いつまでも、いつまでも、僕のことを見守ってくれる。
ずんずんと前に進んでいく人もいれば、いつまでも変わらず日々を過ごしている人もいる。
スイッチを入れろ。
僕は今までずっと、「スイッチ」に手をあて、触れつづけていた。
いつまでも、いつまでも、押し切ることに躊躇し、年ばかり取っていって、「若いね」と言われることも、この頃は少なくなってきた。
自分自身で、スイッチを入れることは、とても難しい。
覚悟と、モチベーションと、継続と、精神力と、誰にも左右されない意思の固さと…
角張った石が川に流され、徐々に丸くなるように。
いっそ、ばっと、川に飛び込んで、抵抗せず、身を任せ、揉みくちゃにされ、傷付きながらも、丸く、まるく、形を成していければ、どんなに気持ちの良いことだろう。
僕は、この10年間ぐらいずっと、体型のことに悩んでいた。
社会人になって、15kg以上は体重が増えていたと思う。
これではいけない、と思い、断食、ファスティング、置き換えダイエット、レコーディングダイエットなど…
いろいろやって、ぜんぶ失敗した。
諦めて、吐くぐらい家系ラーメンを連日、食べ続けた。
意思の弱い自分が大嫌いだった。
仕事が落ち着き始めてから、ジムに通いだした。
あっという間にコロナ禍になって、ジムを休会した。
最近やっと、この体型のままじゃダメだ、スイッチを入れるんだ、と、一念発起。
ジムに週5で通うようになった。
スイッチを入れろ。
今まで手に触れ続けていたスイッチを、ぐっと、ゆっくりと、押し込んだ。
カロリーを計算し、食べるものを固定。嫌いなブロッコリーも頑張って食べた。
酒を辞めた。
飲みに誘われても、ウーロン茶だけ飲んだ。
2週間で-4.2kg減量できた。
周りからしたら、ほんの些細な、小さな成功体験。
だけど、僕はずっと、押せなかったスイッチを、やっと、押すことができた。
まだ、きちんと結果が出たとは言えないから、押し切れたかどうか、まだ分からない。
少なくともあと1ヶ月はダイエットを続けて、腹筋が見えるまで、減量を続けるつもりだ。
…いや、絶対やる。
必ずやる。
腹筋を割るまで絶対に諦めない。
スイッチを入れろ。
僕はもう、スイッチに手をかけているのに、いつまでも、いつまでも、押し切らず、言い訳を重ね、年だけ重ねていく、あの日々は、うんざりなんだ。
周りがなんて言おうが、自分の人生の責任は、自分自身にある。
環境のせいにしたり、年のせいにしたり、そんなことで、自分の人生を諦めて、卑下するようなことはしたくない。
34歳にして、やっと、スイッチを入れる覚悟がなんなのか、だんだんと分かってきたんだ。
理想の体型になったら、次は、音楽活動のスイッチを入れたい。
忌野清志郎のように、トータス松本のように、奥田民生のように…
そんな風になれたら、どんなに楽しいことか。
スイッチを入れて、いれて、死ぬまで入れ続けて。
そんなことを、僕はぼんやりと、カフェでスマホをいじるOLの透けたブラ紐をながめながら、考えていた。
「ああ。もうすっかり、夏なんだな」
僕はブラ紐を見つめながら、ぼんやりそう考えていた。
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okutaniのTwitter以上, ブログ未満な文章
34歳。スイッチを入れろ
2024.07.25